Godot 4.8がベータ版に入り、機能が出そろいました。 2回目のベータ版は2026年10月29日に公開され、150件近いバグが修正されています。リリース全体としては、エディターとランタイムの改良が数多く盛り込まれました。小規模な2Dゲーム、モバイルゲーム、ブラウザゲームを作る人にとって特に役立つのは、新しいエディターのワークフロー、改善されたタッチ入力、自動でサイズが変わるテキスト、そしてWebエクスポートが依存するCompatibilityレンダラーの複数の修正です。
この記事では、Godot 4.8の新機能、カジュアルゲームやWebゲームにとって重要な変更点、そしてメインのプロジェクトを危険にさらさずにベータ版を試す方法をまとめます。
Godot 4.8ベータの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| エンジン | Godot Engine 4.8(無料・オープンソース) |
| 現在のビルド | 4.8 beta 2、2026年10月29日公開 |
| ステータス | 機能凍結:安定版リリースまで新機能の追加はなく、修正のみ |
| 4.7からの変更 | 340人のコントリビューターによる1,523件の修正(beta 1時点の集計) |
| beta 2での修正 | 150件近いバグ(うち約30件はリグレッション)、59人のコントリビューター |
| ビルド | Standard(GDScript、GDExtension)と.NET(C#)、Windows・macOS・Linux向け |
| その他の試し方 | ブラウザで動くWebエディター、Androidエディター(テストグループ)、XRエディター |
| .NETの要件 | .NET 10.0以降(従来は.NET 8) |
ベータ版はプレリリースです。Godotチームはテスターにリグレッションの報告を求めており、特に以前の4.xバージョンで動いていたプロジェクトが壊れるケースを重視しています。テスト用に使い、運営中のゲームのリリースには使わないでください。

エディターの作業がより快適に
Godot 4.8は、日々のエディター操作の快適さに大きく力を入れています。使い始めて最初の1時間で気づく変更は次のとおりです。
- メイン画面がドックに。 エディターのメイン画面はドックになり、閉じたり、独立したウィンドウとしてフローティングさせたりできます(Game画面は固定のまま)。
- 新しいGame・2D・3Dツールバーが統一されたスタイルになりました。
- FileSystemからシーンを実行。 シーンファイルを右クリックすれば、開かずにそのまま実行できます。
- あいまい検索で近い候補も見つかるようになり、FileSystemドックにはglob検索とCtrl+スクロールでのズームが加わりました。
- 実行中のゲームを編集。 ゲームの実行中にCanvasItemを移動、サイズ変更、回転、拡大縮小でき、元に戻す・やり直しにも対応します。2DレイアウトやUIの調整では、再起動の手間を大幅に減らせます。
- 実験的なシンボルのリネーム機能で、関数や変数の名前をプロジェクト全体で変更できます。
- ゲームウィンドウがデフォルトでエディターに埋め込まれるようになりました。
GDScriptユーザー向けには、警告が行全体ではなく、問題の原因となっている部分だけに下線を引くようになりました。小さな変更ですが、長い行の修正がずっと楽になります。

2D・モバイル・カジュアルゲームにうれしい理由
ブラウザゲームやモバイルゲームの多くは2Dで、タッチ操作が中心、そしてテキストが多い(メニュー、スコア、ショップのボタンなど)ものです。Godot 4.8には、まさにこうしたゲームを狙った機能がいくつか追加されています。
- 枠に収まるテキスト。
LabelとRichTextLabelにauto_font_size、min_font_size、max_font_sizeが追加されました。ボタンのラベルがドイツ語やロシア語で英語より長くなっても、はみ出す代わりにフォントが縮んで収まります。多言語に翻訳するゲームには実際に役立つ機能です。 - より多くのコントロールがネイティブタッチに対応。 TextEditとCodeEditで、タップでのカーソル配置、慣性付きのドラッグスクロール、ダブルタップでの単語選択ができるようになりました。TabBarとPopupMenuもネイティブタッチに対応しています。
- 二重タップの減少。 タッチ操作でボタンが二重に押されるバグはbeta 1で修正され、beta 2ではタッチ処理時にボタンがビューポートの表示部分をチェックするようになりました。
- テーマサウンド。 テーマにサウンド項目を持たせ、UIイベントで再生できるようになりました。クリック音やホバー音を各ボタンのスクリプトではなくテーマに置けます。
- 軽量な物理クエリ。 2Dと3Dのスペースクエリで結果オブジェクトを新規に確保せず再利用できるようになり、毎フレーム多数のレイやシェイプの判定を行うゲームに効果があります。
- Androidエクスポートの支援。 エディターがAndroid SDKとJava SDKのダウンロードと管理を代行できるようになりました。初めてモバイル向けにエクスポートする際によくつまずくポイントです。

Godot 4.8でWeb(HTML5)ゲームはどう変わるか
GodotのWebエクスポートはWebAssemblyとWebGL 2.0を通じてブラウザ上で動作し、CompatibilityレンダラーがWeb向けのデフォルト(かつ唯一)のレンダラーです。そのため、各リリースのCompatibility関連の修正は、Web開発者がまず読むべき部分です。
Godot 4.8では、次のような変更が含まれています。
| 変更 | Webゲームにとっての意味 |
|---|---|
| CompatibilityレンダラーでDecalが動作するように | 焦げ跡や足跡などのエフェクトをブラウザ版でも使える |
| Compatibilityで乗算ブレンドが暗くなりすぎる問題を修正(beta 2) | 乗算ブレンドを使うスプライトやパーティクルがWebでも意図どおりに見える |
CompatibilityでスカイシェーダーのSCREEN_UVを修正 |
カスタムのスカイシェーダーが正しく描画される |
| Unicodeデータをバージョン18.0.0に更新(beta 2) | 多言語ゲームのテキスト処理が向上 |
| 新規プロジェクトではウィンドウ非フォーカス時にゲームパッドを無視 | プレイヤーがブラウザのタブやウィンドウを切り替えたときの誤入力を防ぐ(新規プロジェクトのみ) |
今回のリリースには、目玉となるWeb向け機能はありません。Webプロジェクトが得るのは、主にエディター、GUI、タッチ全般の改善と、上記のCompatibility修正です。本番で使う前に、自分のエクスポートをChrome、Firefox、Safariでテストしてください。
3Dプロジェクト向けのレンダリングの見どころ
Godot 4.8は、強力なレンダリング機能も多数搭載しています。多くはWebではなくForward+とMobileレンダラー向けですが、エンジンの進む方向がよくわかります。
- スクリーンスペースコンタクトシャドウが、オブジェクトと地面が接する部分に細かい影を加えます。
- マルチバウンスアンビエントオクルージョンで、隅が暗くなりすぎる見た目を軽減します。
- ディレクショナルライトマップのスペキュラーで、光沢のあるハイライトをライトマップにベイクします。
- ミップレベルのテクスチャストリーミングで必要なテクスチャの詳細だけを読み込み、ビデオメモリを節約します。
- アニメーションデカール、ネイティブのTrail3Dノード、再利用可能なシェーダーサブグラフを作れるビジュアルシェーダーのノードグループ。



内部的には、オブジェクトのプロパティアクセスが約1.6倍高速になり、プロパティを単一のマップに格納することでランタイムメモリを約12MB節約しています。多数の子ノードを一度に削除する処理も高速化され、大きなレベルや弾のプールをクリアするゲームに役立ちます。
アップグレード前に確認したい破壊的変更
機能凍結されたベータ版は、思わぬ問題を洗い出すのに最適なタイミングです。次の変更は既存のプロジェクトに影響する可能性があります。
- .NET(C#)ビルドには.NET 10が必須になりました。
- 非フォーカス時のウィンドウでのゲームパッド入力は、新規プロジェクトではデフォルトで無視されます。
- ダイアログのデフォルトタイトルが変更され、またタッチの二重押し修正により、コードでこの問題を回避していた場合は挙動が変わる可能性があります。
- mbedTLSが4.1.0に更新され、ネットワーク関連のコードに影響します。
- スクリプトが自身のインナークラスを継承できなくなりました。
- ソースからエンジンをビルドするには、Python 3.10以降が必要になりました。
すべてのプルリクエストを含む完全なリストは、Godot 4.8インタラクティブ変更履歴で確認できます。
Godot 4.8ベータを安全に試す方法
- プロジェクトをコピー(またはバージョン管理にコミット)してから、ベータ版で開きましょう。新しいバージョンにアップグレードしたプロジェクトは、古いバージョンで正常に開けない場合があります。
- 適切なビルドをダウンロードします。Godot 4.8 beta 2の公式ダウンロードページから、GDScriptならStandard、C#なら.NETを選びます。
- インストールを省くなら、デスクトップのブラウザでGodot 4.8 beta 2のWebエディターを開いて手軽に確認できます。
- ゲームとWebエクスポートを実行し、メニュー、タッチ入力、ブレンドモードやシェーダーをチェックします。
- リグレッションを報告します。GodotのGitHub Issueトラッカーに、再現用の小さなプロジェクトを添えて投稿しましょう。
よくある質問
Godot 4.8はもうリリースされた?
安定版はまだです。Godot 4.8 beta 2は2026年10月29日に公開され、エンジンは機能凍結の段階にあるため、安定版リリースまでに残る作業はバグ修正です。
リリース間近のゲームにGodot 4.8ベータを使うべき?
いいえ。ベータ版はテスト用です。リリースビルドは現在の安定版のままにして、4.8はプロジェクトのコピーで試してください。
Godot 4.8はWebゲームに向いている?
はい、Webエクスポートで使われるCompatibilityレンダラーを使うなら向いています。4.8ではCompatibilityの問題がいくつも修正され、タッチとテキストの処理も改善されていますが、Web専用の大型新機能は追加されていません。
Godot 4.8には.NET 10が必要?
C#スクリプトを動かす.NETビルドの場合だけです。GDScriptを使うStandardビルドには、.NETはまったく必要ありません。
何もインストールせずにGodot 4.8を試せる?
はい。4.8 beta 2の公式Webエディターがデスクトップのブラウザで動作します。ただし本格的にテストするなら、ダウンロード版のエディターのほうがおすすめです。




